「晩秋の鉄旅」ですが、昨年中に最終編をアップしなければと思いつつ、結局年が明けてしまいました(^^;
ということで、前回の続きで今回は「湘南の普通列車グリーン車の旅編」を語ろうと思います。
今回の鉄旅、元々の目的は東海道本線の普通列車のグリーン車に乗ることでした。
以前の記事でも書いたのですが、子ども時代、東海道本線の普通列車のグリーン車に憧れていました。
当時の東海道本線の普通列車は113系が主力だったので、グリーン車は主にサロ110やサロ111だったのですが、それらを目にしては「いつか普通列車のグリーン車に乗って小田原や熱海の方まで……」などと夢想したものです。
(サロ111)
『最後の国鉄電車ガイドブック』誠文堂新光社(2017年)P46より抜粋
あれから30年以上経ったのですが、未だこの願望を叶えておらず、前々から東海道本線の普通列車のグリーン車に乗りたいと思っていたわけです。
今回、予定は変更してしまいましたが、やはり最後はそれで締めようと思い、211系セミクロスシート車の普通列車の旅を終えると、高尾駅から小田原駅に向かうことにしました。
八王子駅までE233系の快速で行き、八王子から茅ヶ崎駅までは横浜線と相模線を利用して行きました
横浜線は過去何度かお世話になったことがあるのですが、相模線は今回が初です。
単線で、使用されている車両は205系と古め。
ローカル線の趣きすらありました。
当初、トータルで1時間もかからないだろうと踏んでいましたが、1時間20分くらいかかりましたかね。
ところで、相模線では一つ驚いたことがありました。
それは無人駅の存在です。
途中、入谷駅で高校生くらいの男の子が赤くて四角い箱の中から券のようなものを取り出していそいそ乗ってくるのを目にしました。
最初彼が何をしているのかよく分からなかったのですが、乗車駅証明書(路線バスの整理券に当たるようなもの)を発券して取り出していたんですね。
相模線に無人駅は、現在のところ、入谷駅以外にも宮山駅と倉見駅の合計三駅あるようです。
少しローカル線の趣きがあったとは言え、都心からそれ程離れていないこのような路線に無人駅があるとは思っていなかったので、ちょっとした驚きでした。
終点の茅ヶ崎駅に着くと、東海道本線の下り普通列車に乗り換えて、小田原駅に向かいました。
小田原からはこの日の締めで、土浦駅まで普通列車のグリーン車を乗り継いで行きます。
小田原駅に着くと、すぐに構内で駅弁を購入。
時間は既に午後の2時を過ぎ、日は傾いてきていました。
まだお昼を食べていなかったのでかなり空腹でしたが、グリーン車の中で駅弁を食べるという楽しみのためにしばしの我慢。
ホームに戻ると、早速停まっていた普通列車のグリーン車に乗車。
乗った列車は14時28分小田原始発の上野-東京ライン経由高崎行きの1884E。
普通列車のグリーン車の座席は平屋席を選ぶことが多いのですが、今回は景色を楽しもうと思い2階席最後尾右の窓側を選びました。
最後尾の座席は後ろに気兼ねなく背もたれを倒せるので、空いていれば必ずそこに座りますが、同じことを考えている人は多いようですね。
席が埋まっている率が高い気がします。
しかし、この日は乗車した時点で僕の座った車両の2階席にはまだ誰も座っていなかったので、最後尾の座席に座ることが出来ました。
時間帯のせいなのか、始発駅だからなのか、小田原辺りまでくると大抵はそうなのか分かりませんが、グリーン車は大分空いていましたね。
それはそうと、今回ちょっと残念なことがありました。
選んだ座席の下にクッキーか何かの食べカスがいっぱい落ちていたことです。
こういうことにはさほど神経質ではないつもりですが、かなり目立っていたので気にせずにはいられなかったかな。
他の座席に座ろうかとも思ったけど、結局場所のメリットを優先。
ただ、足元に食べカスがいっぱい落ちているのは気分が良くないし、自分がその犯人のように思われるのも癪なので、そこだけ自分でさっと掃除しておきました(^^;
列車が発車する時点で、乗客は僕が乗っていた車両の2階席で数人程度だったでしょうか。
近くに誰も座っていなかったので、気分は貸切状態でした。
列車が発車すると、早速駅弁を広げ、少し遅い昼食タイムにしました。
買った駅弁は小田原駅の改札口の側にある「驛弁屋」という店で買ったデラックスこゆるぎ弁当。
950円と少し値が張りましたが、ボリュームたっぷりでなかなか食べ応えがありました。
子どもの頃はこの駅弁というものがまた憧れでしてね。
駅弁は高いとの理由で両親はなかなか買おうとはしませんでした。
夏休みに両親の実家に帰省する時も、弁当を作って持って行くというのが基本で、駅弁を買うなんてとんでもないという感じでしたから。
そんなわけで、東海道本線の普通列車のグリーン車に乗りながら駅弁を食べるというのは子どもの頃は本当に夢のまた夢で、ようやく念願叶ったわけです。
ちょうど日が傾いてくる午後の時間帯で、天気が良かったです。
個人的に東海道本線の湘南の車窓風景は昼下がりの時間帯が似合っていると思っています。
(画像は国府津付近)
かつて幾多の名だたる文士達もこの歴史ある車窓風景を大いに眺めたに違いありません。
かの太宰治も度々伊豆に行ったりしているから、当然眺めているはずです。
もちろん、当時とは風景も大分変わっているのでしょうけどね。
そのように考えると目にしている風景が非常に洗練されたものに見えてくるから不思議。
我が地元の常磐線のどこかあか抜けない車窓風景とは対照的です(笑)
そんな風景を眺めながら周りを気にすることもなく(空いていたので)駅弁を食べて、もう最高でした。
大船、横浜辺りまで来ると、横須賀線や京浜東北線と合流して行きますが、この辺りの光景は本当に壮観。
鉄道のダイナミズムを感じます。
16時17分品川発17時44分土浦着の1223M。
乗るのはもちろんグリーン車。
ふとホームの向かい側を見ると、引退もそろそろ間近に迫ってきている185系が停まっていました。
常磐線のグリーン車は平屋席にしましたが、この日、常磐線の普通列車のグリーン車は結構な乗車率でした。
これまで自分の隣に誰かが座るという状況はなかったのですが、この日は日暮里駅で僕の隣にも乗客が座りました。
常磐線の普通列車のグリーン車も大分定着してきているようです。
乗車率が高くなった印象。
そういえば、この日はグリーン車内で崎陽軒のシュウマイが販売されていました。
自分と同じ平屋席エリアにいた乗客のおば様が一人買っていましたが、こういうサービスはなかなか良いんじゃないかと思います。
常磐線、高崎線、宇都宮線の普通列車のグリーン車導入に関しては賛否両論あったようだけど、概ね成功だったと言えるんじゃないでしょうかね。
この日の鉄旅は朝から盛りだくさんだったせいで疲れていたのか、北千住辺りで眠気が襲ってきました。
乗った列車が土浦止まりだったので、乗り過ごす心配もなく、うとうとと夢の世界へ行き、気づくと牛久辺りまで来ており、体感的にはあっという間に土浦駅に着いた印象です。
外はもう真っ暗でした。
この日の鉄旅はこれで終了。
前回の反省から、体力的体調的に欲張らないほうが良いと思ったのです、結局欲張って盛りだくさんな内容に。
ただ、今回は前回ほどは疲れなかったかな。
前回は元々体調があまり良くなかったのだと思います。
まとめです。
今回、東海道本線の普通列車のグリーン車に初めてじっくり乗ったわけですが、かつて憧れたサロ110やサロ111ではないものの、それでも僕にとって東海道本線の普通列車のグリーン車はやはり特別だと思いました。
何しろ東海道本線は日本で最も歴史ある路線とも言えるし、普通列車のグリーン車もグリーン車が二等車だった時代から続く由緒あるものなのです。
そんな歴史ある路線の車窓風景を由緒あるグリーン車から眺めて駅弁を頂くなんて最高じゃないですか。
首都圏ではJRの中距離の普通列車には当たり前のようにグリーン車が連結されていますが、これは私鉄も含めて全国的に考えると結構珍しいことなんじゃないかと思います。
首都圏以外にも全く無いというわけではないと思うけど、グリーン車やそれに該当するような特別車両というのは、特急列車か、そうでなくとも快速といった速達列車に連結されている場合がほとんどだと思います。
最近、JR西日本の新快速にAシートという有料座席車の導入が発表されましたし、JR北海道の快速エアポートにもuシート車という有料座席車が連結されています。
JRではそうした「快速」も広義の意味で「普通列車」ということになるそうですが、それでもどちらもそれなりの速達サービスを行う列車です。
都心部の緩行線と快速線が並行して走るような区間を除けば、速達サービスを行わない各駅に停車するような普通列車がグリーン車を連結するケースというのは、ほとんど首都圏だけなんじゃないでしょうかね。
そう考えると、現代の普通列車のグリーン車というのはちょっとユニークな存在だと思うのです。
そして、この普通列車のグリーン車にも汽車旅情緒的な雰囲気が残っている気がするのです。
かつての三等級時代における普通列車の二等車も雰囲気はこんな感じだったのかなあ、などという鉄道ロマンをそそられたりもして、旅気分が高まるんですよね。
東京から土浦程度の距離なら、特急列車でさっと行くよりも、こうした普通列車のグリーン車でゆったりのんびり行く方が僕は好きですね。
また乗るつもりです。
次回は熱海まで足を延ばしてみたいですね。
そして、その際は是非崎陽軒のシュウマイ弁当を食べたいです。
僕は本当に普通列車のグリーン車が好きなんだなあと思います(笑)
ということで、晩秋の鉄旅シリーズはこれでおしまいです。