少し前の話になりますが、久しぶりに乗り鉄という名の不要不急の鉄道利用をしてきました。
昨年の5月以来でしょうか。
コロナも余り話題にならなくなり、ほぼ終息かという雰囲気で、そろそろ良いかなと思い、再開することにしました。
いずれ全国の鉄道路線をコンプリートしたいという野望を抱いていますが、先ずは足元と考え、地元茨城の鉄道の制覇を目論んでみました。
灯台下暗しな僕はJR常磐線とつくばエクスプレス以外の我が地元茨城の鉄道はほとんど利用したことがなく、そこで今回はときわ路パスを使って、茨城県内の鉄道を乗り通すことにした次第。
ときわ路パスは、指定エリア内の茨城県を通る鉄道の普通・快速列車全てが乗り放題の企画フリー切符。
購入は指定エリア内のJR駅のみどりの窓口と指定席券売機で可能です。
値段は大人2180円、子ども550円。(2023年3月25日現在)
発売期間は利用期間はその年によってまちまちなようですが、冬季、夏季、秋季と三期間を設定して毎年販売しているようです。
今回僕が利用したのは2023年の冬季のパスで、発売期間、利用期間はそれぞれ以下のようになっていました。
発売期間:2023年1月11日〜2023年3月26日
利用期間:2023年2月11日〜2023年3月26日の土休日
乗車できる路線と区間をまとめると以下の通り。(2023年3月25日現在)
JR常磐線:取手-大津港
JR水戸線:水戸-小田林
関東鉄道常総線:取手-下館
関東鉄道竜ケ崎線:佐貫(竜ヶ崎市)-竜ヶ崎
真岡鐡道:下館-茂木
ひたちなか海浜鉄道湊線:勝田-阿字ヶ浦
JR鹿島線:潮来-鹿島サッカースタジアム
(どういうわけか、つくばエクスプレスは入っていない)
パスの利用は一日限り有効で、当初は1日で全エリア制覇と考えていましたが少し無理があり、結果的に今回は茨城県の県南、県西エリアを中心に未乗だった関東鉄道と真岡鐡道に的を絞ることになりました。
真岡鐡道では「SLもおか」にも乗りましたが、まずは前半のハイライト、関東鉄道常総線の旅についてレポートしたいと思います。
当日の3月25日(土)は生憎の雨で肌寒い日でした。
スタートはJR常磐線の荒川沖。
取手まで普通列車で向かい、取手からは関東鉄道常総線で下館へ向かいます。
茨城県民になってかなり経ちますが、関東鉄道常総線は初めての利用でした。
もちろん、関東鉄道常総線の存在は知っていましたし、車で出かけた際に線路の踏切を横切るようなこともあったのですが、家から少し離れていることもあり、なかなか利用する機会が無かったのです。
関東鉄道常総線は茨城県の取手市の取手駅から筑西市の下館駅を結ぶ路線で、路線総延長は51.1キロ、全線非電化でディーゼル車で運行されています。
今回取手から乗った列車は8:12発下館行きの2両編成。
案内表示板では水海道で乗り換えと案内されていました。
水海道を境に取手側と下館側とで系統が分かれているようで、水海道発の下館行きと接続しているということのようです。
取手から下館へ直行する便もありますが、本数は多くなく、取手発の便は大方水海道止まりとなっています。
ディーゼル車に乗るのはかなり久しぶりで、十数年ぶりくらいだったかもしれません。
乗り込むべく車両に近づくと独特の排気ガスの臭いが鼻を突き、電車との相違を感じました。
ワンマン運転で先頭車両の運転室後ろ上部の案内表示板には、路線バスと同じように、乗る駅から到着の駅までの料金が表示されるようになっていて、印象としては電車と路線バスの中間といったところでしょうか。
定刻通り8:12に列車は取手を出発しました。
やはり走行音も電車とは趣を異にします。
線路のジョイント音の他、ディーゼルエンジンの唸るエンジン音がけたたましく車内に響き渡ります。
そして、やはりあの独特の排気臭。
鉄道が好きな僕でも決して愉快なものではないのですが、どこか懐かしい気分になります。
列車は取手を出発してしばらくは街中を走ります。
駅に停車するごとに乗客も拾っていき、立ち客も少し見られるくらいにはなりました。
客層は高校生、中学生、高齢者といったところでしょうか。
若い女性の姿も見られます。
僕のように、ときわ路パスを持った鉄道好きと思われるような方もけっこう居て、その中にはわいわいはしゃぐ小学生数人のグループも見られました。
それでも、乗客の大半はあくまで移動手段として鉄道を利用しているようで、改めて鉄道には地域の足としての役割があるのだと認識しました。
車窓風景は、水海道が近づくにつれて住宅やビルの数が減っていき、田畑が目に付くようになり、段々と牧歌的になっていきます。
関東鉄道常総線が走る茨城県の県南、県西のエリアは四方八方ひたすら平地が広がり、北西の方角に薄っすら筑波山を望めるくらいで、だだっ広い平野の真ん中を鉄路が真っすぐ突っ切って行くような趣で、なかなか壮観な車窓風景が楽しめます。
取手を出て三十分程度でしょうか、小絹を過ぎて関東鉄道常総線の車両基地を越えれば水海道に到着です。
この辺りまでくるとかなり田んぼが広がる風景になっていますが、水海道は常総市の中心市で、駅周辺はそこそこの賑わいが感じらる街並みです。
ここで乗り換えです。
乗客はそのまま駅の外へ出ていく人と、下館行きに乗り換える人と半々といったところ。
乗り換えの列車はホームの向かいで停まっていました。
ここからは、利用者も少なくなり、列車も取手からの直通便以外は1両編成となり、便もぐっと数が減ります。
また、線路も複線から単線になり、無人駅も増え、いよいよ本格的なローカル線の趣が出てきます。
車内には常に十数人程度は乗客が居たでしょうか。
無人駅でも一人二人と乗客の乗り降りがあります。
ある駅では、中学生らしき男女カップルが列車を降りて、相合傘で歩いていく後ろ姿も……。
(うらやましいぞ)
無人駅では車両の一番前の乗降扉のみが開閉され、乗客はそこから乗り降りします。
乗客が降りる際は運転手に切符を見せたりしていました。
また、PASMOやSuicaなどにも対応しているようで、無人駅の改札口付近にカードリーダーが設置されたりしていました。
有人駅では車両の全扉が開き、検札は駅の改札口で駅員が行います。
当日は雨でしたが駅によってはホームに沿って丁度咲き頃の桜の木が連っていて、カメラを向けている人もいました。
僕は席を立ち、車両最後尾まで行って、離れ行く景色を楽しむことにしました。
単線の線路はカーブも少なくどこまでも真っ直ぐ続いています。
列車は快調に走り小駅をこまめに停車しては過ぎていき、県西エリアの下妻辺りまでくると、車窓風景もかなりローカルな趣。
それでも、東京に比較的近い茨城県県南から県西地域はそれなりに人も住んでいるようで、意外に線路に沿って家々が立ち並ぶような光景も見られます。
常総市や下妻市方面はたまに車で通ったりすることもあるのですが、道路を走る車から見る景色と線路を走る列車から眺める風景では印象が大分異なり、ここら辺の土地の別の顔を見るようで何だか新鮮でした。
下妻を出ると、そろそろ関東鉄道常総線の旅も終盤に差し掛かってきます。
大田郷を出て終点の下館が近くなるにつれ、再び建物も増えてきて風景も街らしくなってきます。
さすがは県西の中心地といったところか。
JR水戸線の線路も見えてきます。
下館の街並みとJR水戸線の線路を見ると、終点に来たなという感慨が湧き上がってきました。
水海道から下館は取手から水海道より距離もあり時間も要し51分。
こうして取手から合計1時間24分に及ぶ51.1キロの関東鉄道常総線の旅が終わりました。
ホームに降りるとJR水戸線のホームを挟み、次の目的である真岡鐡道のホームが見えました。
下館駅はけっこう大きな駅です。
JR水戸線の下館駅のホームを南と北で挟み、関東鉄道常総線(南側)と真岡鐡道(北側)の始発駅のホームがあるという位置関係と構造となっています。
今回関東鉄道常総線に初めて乗りましたが、鉄道のダイナミズムを改めて感じた次第です。
水海道から下館方面は、全くのローカル線ですが、それでも道路を車で走る時とは全く違ったダイナミックな趣がありました。
鉄道の通っていない自治体町が「陸の孤島」などと言われたりするのですが、モータリゼーションが発達した現代でも鉄路は輸送の動脈になり得るのです。
地方の鉄道をめぐる現状は厳しく実態はそうなっていなくても、そうなる可能性を常に秘めたものなのです。
そんな気がしました。
正直なところ、地元茨城県の鉄道はあまり注目していなかったのですが、今回関東鉄道常総線に乗ってみて、また一つ地元の魅力と楽しみを見つけられた気がします。
ディスカバー茨城ですね。
そして、関東鉄道常総線が地元民の足として機能していることを感じられたのが嬉しかったです。
また、関東鉄道常総線では関鉄ビール列車と言った企画も積極的に行っているのも嬉しいです。
次はこんな企画列車にもチャレンジしてみたいですね。
以上、関東鉄道常総線の乗車レポートでした。
次回は真岡鐵道の乗車レポートです。